生前整理

生前整理の断捨離やり方 ‐ 残すべきものと捨てるべきもの

生前整理の断捨離やり方 ‐ 残すべきものと捨てるべきもの

生前整理で断捨離を行うときに発生する悩みのひとつが「残すもの」「捨てるもの」の判別です。生前整理は大規模な断捨離を伴う作業ですので、事前に「○○を残して、○○は捨てる」ということを決めておかなければなりません。

しかし、大半の方は残すものと捨てるものの判断ができないことが多いです。今回は生前整理の一環で行う断捨離の基本的なやり方と、残すべきものと捨てるべきものの見極めについて解説します。

生前整理の断捨離を成功させるコツは?

生前整理は普段手に取らない物にも触れることになるため、断捨離のやり方がわからないと悩む方も少なくありません。まずは生前整理の断捨離を成功させるコツを2つまとめましたので解説します。

最初はひとつのカテゴリで断捨離のコツを学ぶ

日常生活で片付けや掃除の頻度が少ない方などは、まずひとつのカテゴリで断捨離のコツをつかんでみましょう。断捨離のコツを知らないままさまざまなカテゴリに手を出してしまうと、非常に時間がかかることになります。

そのため、最初は「量が少ないカテゴリ」「1人でも断捨離しやすいカテゴリ」などで生前整理のコツを習得してみましょう。具体的には細かな物や軽い物などが多い文房具などのカテゴリが挙げられます。

対象のカテゴリの物を1つ、1つ手に取ってみて「必要」「不要」を判断していき、不要な物はゴミ袋へ捨てていきます。反対に必要と判断した物は、最後に正しい場所へ保管するだけです。

これを1回、1回やっていくと徐々に「必要」「不要」の判断スピードも早くなり、自然と断捨離のコツやスピードも上昇するようになります。

断捨離のやり方がわからないという方は、片付けや掃除が苦手なことが多いです。片付けや掃除が苦手な状態だと、本格的な整理を伴う生前整理は難しくなります。正しい生前整理を実施するためにも、まずはひとつのカテゴリで断捨離の基本を学ぶようにしましょう。

「必要」「不要」「保留」のグループを作る

断捨離を行うときはあらかじめ「必要」「不要」「保留」のグループを作っておくようにしましょう。たとえばですが机の中を整理するときに1つ、1つ手に取って確認し、1回、1回保管場所へ戻すというやり方があります。

この「確認→保管場所へ戻す→確認→保管場所へ戻す」というやり方は時間もかかるため、非効率的です。断捨離は「確認→確認→確認→必要な物をまとめて保管場所へ戻す」というやり方がおすすめです。

つまり最初に机の中にあるすべての物を「必要」「不要」に分けるということです。このような手順のほうが保管場所へ戻すときは1回で済みますから、作業時間も短縮することができます。

不要と判断した物に関してはゴミ袋へ捨てるだけです。ただし、整理をしているとときどき「必要か不要か判断できない物」が出てくることがあります。前述の「保留」の枠はこのようなときのために用意しておく必要があります。

保留枠に分類した物に関してはその場で「どうしようか?」と考えると、作業が進まなくなる可能性が大ですので、必要な物と不要な物の整理がすべて終わってから手をつけるようにしましょう。

生前整理の断捨離で残すべきものとは?

生前整理の断捨離で残すべきものとは?

生前整理の断捨離ではできるだけ不要な物は処分するべきです。しかし、当然のことですが中には「これだけは残しておくべき」という物もあります。

断捨離後に「やっぱり処分するべきではなかった…」ということがないように、事前に残しておくべき物を把握しておきましょう。ここでは生前整理で残しておいたほうがよい主な所有物をご紹介します。

現金や通帳

生前整理は遺品整理と違って今後の残された人生のために行うものですから、生活に必要な現金や通帳は絶対に残しておかなければなりません。

また家族など協力者と一緒に断捨離を行うときに注意しておきたいのが「へそくり」です。多くの方はへそくりを周囲の人間がわからない場所に隠します(例:本や衣類の間など)。

協力者はへそくりの保管場所を知りませんから、本や衣類などを整理するときにへそくりも一緒に処分してしまう可能性が高いです。そのため、日常生活で使用する現金や通帳はもちろんのこと、誰も知らない財産も事前に安全な場所へ移しておくようにしましょう。

金銭的に価値がありそうなもの

他の人が欲しがるような高価な物などは、処分せずに保管しておきましょう。このような金銭的に価値がある物は相続をしても資産になりますし、売却という選択をしても高値で売れることが多々あります。

つまり生前整理で資産を増やせる可能性が高いということです。金銭的に価値が高い物というと、以下のようなものが挙げられます。

  • 貴金属類
  • 酒類
  • 仏具や仏壇
  • 株式、手形、国債、小切手などの有価証券
  • 家具
  • 骨董品
  • 自動車
  • ブランド品

もちろん上で取り上げた物以外にも不動産などの重要書類関係は相続や売却の際に必ず必要になるため、しっかりと保管しておくようにしましょう。

リース品などの借り物

生活用品の中にリース品が混じっている場合は誤って処分してしまう可能性もあるため、注意しておきましょう。近年はテレビのチューナー、WiFiルーター、車椅子、歩行器などをレンタルする方も増えています。

これらのリース品を万が一、処分してしまった場合は弁償費用などで余計なお金が発生してしまいます。家族と一緒に生前整理を行うケースでは、あらかじめリース品のことを伝えておくとよいでしょう。

思い出の品物

他の人から見ると「ただの物」と思えるようなものでも、本人にとっては「非常に大切」という物があります。いわゆる思い出の品物ですが、これらはムリにすべてを処分する必要はありません。

中には「これがあるから毎日元気で生活できる」という物もあるでしょう。このような思い出深い品物は処分するのにためらってしまう方も多く、生前整理においての悩みのタネになりがちです。

強制的に処分してしまうと、心の支えがなくなるという可能性もありますので「これだけはどうしても保管しておきたい」という物は残しておくとよいでしょう。ただし思い出の品物すべてを残しておくと死後、処分をする家族に大きな負担がかかってしまいます。

そのため、残しておく思い出の品物の数は少なくしておくことをおすすめします。特に写真やアルバムなどのかさばる物に関してはデジタル化しておくと、保管場所に困ることはありません。

今使っているもの

今まさに使用している物に関しては、今後も日常生活の中で必要になる可能性が高いです。普段の生活や買い物に出かけるときなどにメインで着用する衣類や食事で毎日使っている茶碗などは非常に使用頻度が高いため、必ず必要になる物に該当します。

またクローゼットの中を覗くと、普段まったく使用していないスーツなどもあります。これらは日常生活の中で使う機会が少ないため、処分を検討する方もいますが、生前整理が終わったあとに冠婚葬祭の行事が入ることも少なくありません。

このような理由から冠婚葬祭などで使用するスーツ類なども保管しておくとよいでしょう。ただし、スーツが何着もある方は1着~2着ほど残して、残りは処分する方法もあります。

こうすることで収納スペースにも余裕が生まれるため、今まで収納できなかったその他の衣類などの問題も解決しやすいです。

今後の目標や生き方を達成する上で必要になるもの

生前整理をする前にセカンドライフの目標や生き方を立てている方も多いです。具体的には「現役時代は時間がなくてできなかった趣味を楽しむ」「孫と遊ぶ時間を増やす」などが挙げられます。

このようにセカンドライフの目標や生き方をイメージしている方は、それに合った生前整理、断捨離を行う必要があります。たとえばですが「セカンドライフは釣りを楽しむ」という方の場合、釣り用具だけは処分せずに保管しておくという考え方です。

趣味を楽しむのに必要になる物を捨ててしまったら、セカンドライフは趣味を満喫することができません。

また新しく道具を購入するとなると、かなりの費用が発生してしまう可能性もあるため、金銭面でも大きな損をします。生前整理はあくまでも「今後の人生を充実させる」ために行うものですから、自身の目標や生き方に合った断捨離を意識しておくようにしましょう。

生前整理の断捨離で捨てるべきものとは?

生前整理の断捨離で捨てるべきものとは?

生前整理をしていると「○○は残しておきたいな」という物が多く出てきます。しかし、所有物の多くを残しておくのは死後、家族に迷惑がかかる可能性が高くなります。

そのため、生前整理の断捨離ではできるだけ多くの物を処分するようにしておきましょう。ここでは生前整理で特に捨てておきたい物をまとめましたのでご覧ください。

写真

自身や家族の笑顔などが多く詰まった写真を捨てるのは抵抗があるという方も多いです。しかし、家にある写真やアルバムをすべて残しておくのは推奨できることではありません。

写真やアルバムは1枚、1冊単位であれば場所を取ることはありませんが、2冊、3冊と量が増えていくとスペースを占領することになりますし、何より重量が重くなります。

整理しなかったアルバムなどを処分するときは相当な負担がかかるため、写真やアルバムを大量に保管されている方は思い切って断捨離してしまいましょう。

もちろん思い出用として少量の写真、アルバムを残しておくのはまったく問題ありません。家族と一緒に整理しながら「残す写真やアルバム」「捨てる写真やアルバム」に分類していくのがおすすめです。

使用していない布団

昔はお葬式や結婚式などを自宅で行うことも多かったため、親族が泊まることも少なくありませんでした。このような理由から特に高齢者世帯の家には来客用の布団などが何組もあることが多いです。

これらの布団も現在まったく使用していない場合は処分をしたほうがよいでしょう。現代社会においての葬儀や結婚式などは大きなホールを借りて行うことが一般的であるため、親族が行事のあとに泊まるケースも少なくなっています。

また仮に来客があった場合でも近年は布団のレンタルやビジネスホテルなどを利用する方が増加傾向にありますので、今後は来客用布団の需要も低下すると考えられています。

一度使用した布団は仮にキレイな状態でも、欲しがる人は少ないですので、ゴミとして処分するのがよいでしょう。仮に通常のゴミとして処分できない場合は、不用品回収業者などに依頼する方法もあります。

着用していない衣類

過去に購入した洋服などの中には「買ってからまったく着用していないもの」も含まれている可能性があります。このような使用頻度が低い衣類はクローゼットに保管しておいてもムダなスペースを取るだけですので、真っ先に処分してしまいましょう。

また着物、カシミヤ、毛皮、本革などは買い取りができる可能性が高いため、処分する前に専門店へ持ち込んでみることをおすすめします。近所に評判の良い買取店などがない場合は、出張買取のサービスを提供している店舗に査定を依頼するのもよいでしょう。

今は読んでいない本や書籍

昔から読書が好きだったという方の場合、自宅に大量の本や書籍があることが予想されます。これらの本や書籍は読書好きの方にとっては大切な物に該当するため、捨てるのに躊躇することもあるでしょう。

しかし、今まで購入した本や書籍をそのままにしておくと、残される家族の負担が大きくなります。本や書籍も1冊増えていくごとに重くなっていきますし、スペースも埋まっていきます。

このような状態が長期に渡って続くと、地震などの災害が起きたときにケガをする恐れもあります。そのため、読書などが好きな方は、現在まったく手をつけていない本や書籍は思い切って処分するようにしましょう。

本や書籍の主な処分方法は買取、ネットオークションやフリマアプリでの販売、古紙回収センターの利用などがあります。

趣味で集めていたもの

多くの人は趣味を持っており、その趣味を満喫するためにさまざまな物を購入します。この「趣味の物を購入する」という行為が長期に渡って続くと、必然的に家の中は趣味の物で溢れることになります。

家の中に物が溢れている状況は高齢になればなるほど転倒するリスクも高まるため、どこかで大規模な断捨離をする必要があるでしょう。

昔、夢中になっていた趣味の物などは、現在まったく使っていないことが予想されます。趣味で購入した物を捨てるのに抵抗があるという方は、昔ハマっていた趣味の物から処分していくとよいでしょう。

またコレクションなどが趣味の方は、買取やネット販売サービスを利用すれば、思わぬ高値で売れる可能性もあります。趣味で購入した大型の物などは、自力で処分するのが困難なため、生前整理業者や不用品回収業者に依頼してしまう方法もあります。

1年間で1回も使用しなかったもの

衣類などに代表されるようなシーズン物は「来年も使うから保管しておく」という方が多いです。しかし、シーズン物というのは毎年新製品が販売されることが多いため、一度保管した物は二度と使わなくなる可能性が高いです。

前述のようにアパレル関係の物は特にその傾向が顕著であり、中には何年も使っていない洋服がクローゼットに何着も眠っているという方もいます。

このような状態は日常生活の中でも「必要な物を取り出すのに時間がかかる」というデメリットを生み出します。1年間で1回も使用しない物に関しては、処分を検討するようにしましょう。

断捨離をしてから使わなくなった家具など

断捨離をしていくと自然と物も少なくなるため、ケースによっては今まで使っていた収納棚などが不要になることもあります。

物が収納されていない収納アイテムをそのままにしてもスペースを取るため、断捨離によって不要になった家具類なども処分するようにしましょう。大型の収納棚、家具などは1つ処分するだけで、家の中の空間が非常に広く感じるようになります。

大規模な断捨離を実践すると多くの方は「家の中がスッキリして気分が良くなった」という感情を抱くことが多いです。セカンドライフを充実した気分で過ごすためにも、大きな物はできるだけ処分するようにしましょう。

生前整理の断捨離は「残すもの」「捨てるもの」の判断を間違わないように

生前整理の断捨離は思い出の品物や金銭的価値が高い物にも触れることになります。そのため、あらかじめ「絶対に残しておくもの」を決めておくことが大切です。

「必要」「不要」の判断を間違ってしまうと、絶対に必要な物まで処分してしまう可能性が高くなります。

このようなケースになると相続や遺品整理のときに、家族が困惑することも考えられます。家族と一緒に生前整理を行う場合は、事前に「必要なもの」「不要なもの」を伝えておくとよいでしょう。